「人を育てる」という事
「人を育てる」という事を考えてみたいと思います。これは主に「組織の中での人材育成」という面で書いていきますが、子育てなどにも役立つヒントがあると思います。
最近、「コーチング」という言葉がビジネス書などで流行っているようです。これはバブル期の頃のように「多人数で仕事をする」時代から「少数精鋭で仕事をする」時代に変わってきた事が大きいようです。そして、上司にはただ部下を管理する能力だけでなく、部下を「育てる」能力が必要となってきたために「コーチング」が流行り始めたように私は思います。
しかし、現実としては、なかなか「コーチング」は普及していないようです。勿論、今までも上司や先輩が部下を育てる文化ができている組織で育った人達は「コーチング」は当たり前の事でしょう。しかし、今まで「管理するだけ」の上司や先輩がいた組織で育った人達には「コーチング」とは難しいものに移るでしょう。これは、その人が一概に悪いとは言えません。それは「ジェームス・アレンの法則(2)」でも少し書きましたが、人の知識はほとんどが、自分が体験した事、「体験知」で構成されているからです。自分が体験していない事をやろうとするのはなかなか難しいものなのです。
私は昔、学生の頃にやっていたバイトで、師匠と仰ぐほどの先輩に「『楽』したかったら、後輩を育てなさい」と教えられました。私はその先輩に言われたとおりに、後輩の指導に力を入れました。最初は全然自分の思い通りにならなくて、悩んだりもしましたが、あの手、この手と色々考えては、試していました。その後、どうなったかというと、先輩の言ったとおりになりました。自分がどんどん『楽』になっていったのです。考えてみれば当然です。自分が一人でやっていた沢山の仕事を後輩に任せられるようになったわけですから・・・しかも、この「新人育成」の効果はそれだけではありませんでした。今までやってきた仕事が任せられるようになったので、今度は更に高度な仕事にチャレンジできるようになってきたのです。・・・と言うよりも、チャレンジしなければならない状態になってきたのが本音です(笑)そうしなければ、先輩としての「威厳」が保てないからです(笑)
この経験から私が学んだ事は、「他人を育てる」=「自分を育てる」という事です。人を育てるためには、教えるだけの知識や技量が必要になります。そして、十人十色の性格に対応するために伝えるためのいろんな方法を考えなければなりません。つまり、自分を育てないと他人は育てられないのです。
カウンセリングの考え方では「人は他人の意見では変わらない」というのが大前提にあります。人は自分自身で「気付く」事ができなければ、変わることもできないし、育つこともできないのです。その「気付き」を他人が促すには、やはり自分が「体験」した事を相手にも「体験」してもらう事が大事なのです。口先だけの知識は他人には伝わりません。身を持って体験した知識でなければ、相手の「気付き」は刺激できないのです。
「相手を育てる」事で「自分を育てる」お互いの相互の成長こそが「コーチング」と言われるものだと私は考えます。私が最初に「子育てのヒントになるかもしれません」と書いたのは、子育ても同じ事のように思えるからです。「子どもを育てる」事で「自分を育てる」つまり、人間として精神的に成長する・・・「子育て」とは「親の義務」ではなく、「人間としての一つの成長課題」と私は考えます。
皆さんは「人を育てる」事をどのように思いますか?
