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職人荒木選手のバント失敗

今年のプロ野球セ・リーグは3強の歴史的争いと言われました。昨年までとは比べモノにならないぐらいみんなが好成績のジャイアンツに、もうひとつ波に乗れないドラゴンズ、そして前半戦は打てなくて苦しんだタイガースが、終盤日替わりに順位が変わる混戦となりました。明らかにドラゴンズとタイガースは昨年の強さはなく、それでいて優勝争いをしている意味では、この2チームの地力を物語っているようです。

そんな中タイガースが10連勝で首位まで突き抜け、大阪のマスコミでは阪神優勝を確信するような番組や記事が多くなりました。案の定、10連勝の反動は大きく、9月14日の阪神vs中日の9回表、藤川がウッズに決勝タイムリーを打たれ、そこで急上昇は急降下に向きを変えてしまったようです。11球すべて直球勝負は、場面を考えれば、打たれた以上ちょっと解せない投球でした。

タイガースはヤクルト・横浜にまさかの3タテでトドメを刺され、再度9月27日に甲子園でドラゴンズを迎えることとなりました。2週前とは状況一変、優勝争いから脱落し元気のないタイガースに、もう負けられないドラゴンズの戦いに。阪神ファン(=アンチ巨人)からすると連敗は止めて欲しいが、勝つとジャイアンツに優勝が近づくという何とも微妙な試合で、開始から何とも言えない感じでした。
負けたくないともう負けられないの緊迫感、この試合でそれが見えたのがドラゴンズの荒木雅博選手でした。

初回、先頭の井端が粘ってヒット、そして堅くここは荒木で送りバントのはずが、ピッチャーフライでバント失敗。バントの名手としてはあまり見ない光景でした。当然のこと、冴えない表情でしたが、3回表に同じ場面が。
先頭の井端がヒットでもう一度荒木のバント。ところが今度はキャッチャーフライと2打席連続の失敗とこれは珍しい光景でした。ベンチの荒木選手の様子をテレビで何度もう映していましたが、タオルを頭から被り、肩を落とす姿はチームの悪い雰囲気を一人で背負っているような感じでした。

というのも、ドラゴンズは前日のジャイアンツ戦の初回に4点を取ったものの、その後それがウソのようにチャンスを潰す拙攻の連続。この日も同様、次の4回まで残塁の山で完全に便秘の症状でした。そしてまたまた5回表に荒木登場。

先頭のピッチャー川上のツーベースに、続く井端はフォアボール。ノーアウト1・2塁。タイガースとともに荒木のピンチに。この日の井端は人が悪いように見えるぐらい塁に出ていました。

さぁ、どうする?
2番バッター、0-0、負けられない試合、拙攻の山、エースが投げている、常識的には送りバントの場面。しかしバッターは2打席バント失敗の荒木。さすがに心情を察してか落合監督が登場し、なにやらボソボソ。

1球目はバントせず2球目を思い切って強振!
あろうことかレフトポール際へのホームラン!(なんでやねん)
散々チャンスを潰してきて、こんな形で点が入るとは・・・しかも今シーズン第1号で。

もし、第1打席でバントが決まっていればこの打席もバントだったでしょう。もし第2打席でバントを決めていても、この打席はバントだったはずです。またこの打順の巡り合わせもなかったかも知れません。ベースを1周する荒木選手はニコリともせず、到底大事な試合で先制3ランを打った人には見えませんでした。

荒木選手と言えばマジメなサラリーマンのようなイメージです。控えめで決して目立つようなタイプではありません。春にインタビューで甲子園の阪神戦のことを聞かれ「ベンチの上からでもヤジがすごくて怖い」と言っていたことを思い出しました。「ただその人に挨拶をすると‘お前だけは応援したる’と言われて面白い」というようなことも言っていましたが、ホント人柄がよく表われていたように思います。

名手・職人と言われる選手であっても逆境はあるようです。荒木選手はホームランを打つことが仕事ではなく、バントを決めることが2番バッターの役目だと思っているはずで、全然嬉しそうな顔はしませんでした。おそらく試合後もそうだったと思います。それでもその責任感と何とかしようとする必死さが、1本も出なかったホームランを生んだようです。

やっぱり神様は見てるんですかね。

次の第4打席は完璧なセンターヘのヒット。迷いが吹っ切れ、躍動感が戻ったようでした。

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